■パンテロック

途中からの画像になりますが、これは〇ポロンで扱った東欧製ギターでフルアコ構造の変わったギターです。
トラスロッドが効かなくて順ぞり状態(両効きで順ぞり側には曲がるが逆ぞり側にはきつくて曲がらない)、それと何か共振のような異音がするので何とかしてほしいという・・・リペア泣かせのご依頼でした。
かなりの日数を割いて調べて色々試したのですが順ぞり共振ともに今一つでした。
一般的な会社ならこの時間だけでも数万円の請求になりますが・・・結局、時給換算すると500円ぐらい?
最終的には共振、トラスロッドが効かない、共に原因はトラスロッドと結論づけました。
順ぞり方向にトラスロッドを無理やり回すと多少共振が収まるためです。しかしネックは真っ直ぐになってくれません。
依頼者と相談の上、折れるのを覚悟でトラスロッドを回すと・・・折れました。(切れました)
そして、トラスロッドの交換になるわけです。
最初の画像は、指板を剥がした後でネックが一部割れていたのを接着しているところです。(もともと割れていたものをついでに治しました)

これが問題のトラスロッドですが・・・見たこともないタイプ・・・さすが東欧、逆ぞり側には曲がってくれなくて(多少は曲がる)、順ぞり側にはとてもよく曲がってくれる・・・そう、これは両利きのトラスロッドを天地逆に仕込んだ時の典型的な症状・・・ふざけるな!!!!
知らなくてやったのか?知っていて、仕込む構造上天地逆に仕込んだのか?
聞いたところこのギターの製作家は元家具職人だとか・・・
勘弁してくださいよ…この修理いくら請求できるんですか?
とにかく、すべて解決です。
下の画像で溶接部が取れていますが多分以前からクラックが入っていて(ロッドが効かなくて結構無理に回した結果)、それが共振異音の発生源だったようです。今回さらに回してとうとう溶接部が取れたということです。

後はなにも問題ありません。新しいトラスロッドを入れるためにスペースを拡大して、天地を正しい方向にしてからロッドを仕込みます。

ロッドの蓋の接着です。

蓋がされました。綺麗に平面を出します。

指板接着です。

ロッドも逆ぞり方向に曲がるようになりました。

やっと・・・終わりました。共振は完全になくなりました。ネックも真っ直ぐ、弦高を下げることができるようになりました。

ほぼ1mmセッティングです。

指板を剥がした際の塗装ダメージも綺麗に直しました。結局時給は400円ぐらいになったような・・・
今回のような仕事は本来10数万円ぐらいもらわないと、商売として全く成り立ちません。これではリペアショップ倒産まっしぐらになります。
不具合の特定が困難な場合はやってみないとわからない世界になります。
当然、金額もやってみないとわからないことになります。
今回の場合、ロッドを折ってから初めて原因がはっきりしたわけですが・・・最初から10数万円とはこっちも思ってないし・・・最終的にくださいというには金額が大きすぎるし・・・結局数万円で・・・なんだよこの製作家?はぁぁ・・・
まあ、治ってよかったですね。