■キラースケアリー

これは難しいギターです。しかも初期物のせいか、完成度が?・・・ご依頼はリフレット、可能な限り弦高を下げる、弦落ちの解消です。
先ずは持ち込み時の状態をチェック、セッティングを詰めてみます。

ディープなジョイント、ネックの上にフロントPUが乗っています。ネックポケットは不思議な角度になっていますが、その上に紙のシムで微調整されています。スケアリーは他の個体も全く同じでしたので純正の調整のようです。

交換前のフレットエッジですが球面加工というのでしょうか?これが問題です。フロイドサドルの幅とネック幅の関係でただでさえ弦が落ちやすいところに球面ではあっという間に弦落ちです。この個体はプロトでしょうかね?

作業内容はショートカットして・・・フレットを打ちこみました。ここで弦を張ってエッジの角度の判断です。エッジを立ててフレットに弦が乗る部分をできるだけ多くします。多少は弦落ちが解消されます。

ここも問題。ポケットサイドの堀込が甘く出っ張っています。この部分のせいでネックがきつくセンターがずれています。削ってセンターが合うようにします。

エッジの角度も決まったので指板フレットを磨きます。

次は弦高ですが、シムで調整を考えてみます。・・・これは全然ダメでした・・・

これがよさそうでした。紙シムは取りました。

完了。可能な限り弦高を下げてみました。弦落ちも全然違うとのことでした。いいギターですが難しいギターでしたね。